お知らせ
皮膚科
今回のテーマは「皮膚の乾燥」について
皮膚が乾燥する原因は主に3つあります。
- 加齢などによる生理的なもの
- 乾燥する季節や紫外線などによる環境的なもの
- 皮膚や体の病気からくるもの
詳しい内容は後述しますが、まずこれらの対策から。
- こすらない!ナイロンタオルはやめて!
- 入浴後すぐに保湿剤を塗る!
これだけです。
これだけなのですが、痒みもないのに継続して塗るというのが意外と難しいです。
しかし乾燥すると皮膚が荒れ、様々な症状(感染症やアレルギー)を引き起こすことが知られています。
そのため皮膚は乾燥させないように保湿剤をしっかり塗ってください。
ナイロンタオルは皮膚がボロボロになり痒みの原因になるため使用しないことを強く勧めます。
ここから少し詳しく説明していきます。
皮膚の乾燥は病名として「皮脂欠乏症」といいます。
これには皮膚の最外層に位置する『角層』が主に関係してきます。
角層は皮膚のバリア機能をもっていて、これにより外からの物質や微生物などの侵入を防ぎ、内からの水分の蒸発などによる肌の水分の喪失を防いでくれています。
この角層が下記3つの理由により障害され皮膚は乾燥します。
1. 生理的なもの
皮膚は加齢にともない角層内にある水分を保持する機構が弱くなっていきます。
また皮脂腺や汗腺など潤いを手助けしていたものも退化していくため、さらに乾燥が進みます。
高齢者の7割に皮膚の乾燥症状を認めるという報告があるくらい、加齢による影響は大きいです。
逆に新生児では皮膚の機能が発達しきっていないため、乾燥しやすい状態になっています。
ムチムチして一見潤っているように見えてしまいますが、大人よりも皮膚のケアが大事になってきます。
2. 環境的なもの
乾燥する季節では肌からの水分蒸発が増えるため、皮膚は乾燥していきます。
紫外線では皮膚自体がダメージを受け、角層もボロボロになるために肌から水分が喪失しやすくなっています。
ナイロンタオルなどで擦る、乾布摩擦など肌を強く擦ることによっても角層がダメージを受けるので注意が必要です。
ナイロンタオルを使用した後やアカスリの後はスッキリするとよく聞きますが、その後に痒みがひどくなるのでやらないことを強く勧めます。
3. 病気からくるもの
例えばアトピー性皮膚炎の患者では、体質として皮膚の機能に異常があることが多く乾燥しやすい状態になっています。
糖尿病や慢性腎不全患者でも皮膚の機能が低下し乾燥症状をきたします。
以上が乾燥の原因になります。
上記3つはそれぞれが重なるため、持病がある高齢者は冬になると皮膚の乾燥が必発です。
これら3つのうち当てはまるもの1つでもあれば、普段よりもしっかりと保湿をするのがよいでしょう。
ちなみに皮膚は乾燥すると角質がボロボロになります。
乾燥すると痒くなって湿疹化します。
この状態を「皮脂欠乏生湿疹」といいます。
痒くて掻くとさらに角質にダメージが加わります。
角質がボロボロになると皮膚のバリア機能が低下して細菌が侵入して化膿したり、ウイルスが侵入してイボが発症したりします。
皮膚からアレルギー物質が侵入することでアレルギーが発症することもあります。
このように乾燥は皮膚疾患のみならず全身疾患も引き起こすことがあるため、保湿は最重要になってきます。
良い皮膚は保湿から
みなさん頑張って塗りましょう!
Q1> 保湿剤は何がいいの?
A1> 乾燥する季節であればクリームや軟膏タイプがおすすめです。乾燥しない時期であればローションや乳液タイプでも大丈夫です。ものはアレルギーがなければなんでもいいです。使い心地や匂いなど気に入るものを使用してください。アレルギーがある場合は病院から処方されるものを使用されるのがいいでしょう。
Q2> いつ塗るのがいいの?
A2> 入浴後の肌がしっとりしている時がおすすめです。服を着る前なので全身塗りやすいです。乾燥がひどい場合は起床時の身支度の際にもう1回塗るとより効果的です。
Q3> 入浴で石鹸は使わない方がいいの?
A3> 体の汚れを落とすために石鹸は使用していただいてかまいません。しかし皮脂も一緒に落ちてしまうため保湿は必ずしてください。
Q4> ナイロンタオルは本当にだめ?
A4> やめてください。「ナイロンタオル皮膚炎」という病名が作られたくらいに皮膚にダメージを与えます。高齢者で寝るときに背中が痒くなる原因の一つがナイロンタオルによるものだったりします。
Q5> 薬を塗る以外にできることは?
A5> まず加湿です。エアコンは乾燥するので加湿器などを併用してください。電気毛布は体の乾燥を促進させますので適度に利用ください。
Q6> 手がよく乾燥しますがどうすれば?
A6> ハンドクリームをこまめに塗ってください。1日1回では効果は乏しくなかなか改善しません。1日10回でも20回でもこまめに塗るようにしてください。
Q7> 乾燥して痒い!保湿しても治らない!
A7> 痒い状態までいくと湿疹化しているので、湿疹を抑える薬が必要です。受診して症状に合わせた薬を処方してもらってください。