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最近暑い日と涼しい日が交互にやってきて、体調管理が難しくなってきました。
皆様も体調を崩されないようお過ごしください。
さて、先日5/21、東京の「デュピクセント発売5周年記念講演会」に出席してきました。
コロナ明けでの久しぶりの集まるタイプの全国講演会です。
これまでオンラインでの講演会には参加してきましたが、やっぱり直に聞く講演会はいいですね。
会場の雰囲気や講師の方の熱意がダイレクトにきますし、なにより私の集中力が違います(^ ^)
自宅だと手軽でいいんですが、気が緩んだり子供らが騒いで気がそぞろになったりと集中を持続させるのが困難です。
簡単にデュピクセントの説明からします。
デュピクセントはアトピー性皮膚炎の新しい治療薬で2018年に発売されました。
デュピクセントはアトピーやアレルギーの原因となる物質を直接阻害することで、副作用が少なく、かつ効果が高い治療薬になっています。
これによって今までは難しかった寛解状態を達成・維持することができるようになりました。
詳しいデュピクセントの説明については以下のリンクをご覧ください。
https://www.support-allergy.com/atopy/
講演会ではデュピクセントの基本的な情報はもちろん、どのような患者に使用しどのくらい改善したかが分かりやすく提示されており、非常に勉強になりました。
私が一番興味をもったのは、皮疹や痒みはまだ残っているが、患者がそこで妥協しており、それ以上の治療がなかなか進まない状況の説明もありました。
石倉クリニックにも中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者はよくこられます。
これらの患者からよくいわれるのが、
「だいじょうぶ」
「いつものくすりがほしい」
「慣れているから」
皮疹は痒そうに赤く、実際に掻いた痕がたくさんあり、皮膚は大丈夫ではないと訴えています。
このような患者にこそデュピクセントなどの生物学的製剤を勧めてはいるのですが、思うように同意が得られません。
講演会でなぜ新しい治療に抵抗するのかの解説がありました。
「現状維持バイアス」や「サンクコストバイアス」というのがかかっている可能性があるとのことです。
難しい言葉がならびましたね。
- 「現状維持バイアス」は未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用
- 「サンクコストバイアス」はそれまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで引き返せなくなる、言わば「もったいない」という感情に縛られている状態
サンクコストバイアスはパチンコやクレーンゲームなどがいい例ですね。
これらの心理状態により症状が悪いにもかかわらず既存の治療を選択するのだそうです。
これらを打開する方法として、一番はよく話し合うことだそうです。
痒くてよく眠れない、赤くて人目が気になるなど、なんでも聞かせてください。
悩みを共有させていただき、一緒に治療ゴールを目指しましょう。
ちなみに皮膚科医の治療ゴールはアトピー性皮膚炎のガイドラインに明記されています。
「症状がない状態、あるいはあっても日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態」です。
痒くて眠れない、人目が気になるなどは日常生活に支障をきたしていますので、皮膚科医からするとまだ治療途中になります。
妥協せず、満足せず、もっとよい状態を目指していただけたらと思います。
最後に、最近の若者言葉(?)として、「肌が荒れている」と言うより、「肌の治安が悪い」と言う方が直接的でなくストレスが少ないそうです。
新しいものっていいですね。
石川県河北郡津幡町
皮膚科、形成外科、美容皮膚科
石倉クリニック
石倉 祐貴